「語る野球」
編集長
いつも、ここに来ると感じることとして、観る野球、する野球とは違う、「語る野球」みたいな、文化的なものがあると思うんですよ。それについてどう思いますか。
石井オーナー
確かに、ここに来る人は「語る野球」だね。 それに、草野球の話も本当に多いね。しかも、真剣そのもの。 若い子たちは自分達で「強いチームを作ろう」と言って、草野球を超えたようなチーム作りをするような子達もいるからね。高校野球や大学野球経験者が集まって、レベルの高い草野球の大会に出ている、そういう子達も来るし。そういう子達はもう会話が違うね。「どうやってチームを強くしようか」って真剣に話し合ってたり。あとは「あそこに良い奴がいるらしい」とか。スカウトの話もしてるよ。
編集長
石井さん自身が「語る野球」に参戦するために、準備していることは?
石井オーナー
やはりお客さんの情報が大きいよね。あとは選手も来てくれますし、まあそういう話をちょくちょく入れてあげるとお客さんも喜んでくれるしね。
「お宝」
編集長
このお店は、野球人にとって、ある意味、「宝箱」。その中で超レアなお宝を見せていただけますか。
(「ありますよ。といい、奥のホームベース型のテーブル席へと向かう石井オーナー。 その中から取り出したのは1984年8月9日に行われた、巨人-広島戦で通算89勝を挙げた、石井さんの大ファンでもある江川投手の直筆サイン入りウイニングボール。 この試合は「野球の日」(8月9日)に開催され、3-2で巨人が勝利を収めている。そして江川投手の通算89勝という、野球にちなんだ超レアな宝物だった。)
「野球とは」
編集長
石井さんにとって「野球」とは?
石井オーナー
野球は人生の全てだよね。 野球を始めて、野球をやって、ちょっと田舎で騒がれて、東京に出てきて、ずたずたにされて。。。野球は失敗したんだけど、野球をやっていたから、こういう商売もできて。野球につながる商売ができるなんて考えてもなかったからね。お店はやりたかったけど、こういう風になると思わなかったし、やっぱり人との出会いですよね。水島先生とか、たけしさんとか知り合って。 野球がなければ、もちろん、このお店はないだろうし、やっぱり野球が全てですよね。体が動くうちは草野球をやっていたいよね。 味方を野次って、終わったあとは酒を飲む。これで良いと思うんだよね。これが僕の目指す草野球だよね。
編集長
草野球は今後も続ける感じですか。
石井オーナー
もう体が動けなくなるまでやりますよ。(水島)先生の歳までやりたいよね。
編集長
今はトレーニングとかされているのですか。
石井オーナー
僕は、毎日1時間くらいジムで走っていますよ。酒をおいしく飲むために。仕事のためにね。 お酒も楽しむ、それこそが「本当の草野球」っていったらおかしいけど、結構そういうチームも多いと思うな。 僕が目指してる野球はそれ。もちろん、草野球でも強くなりたいっていう人はいっぱいると思うけど、それはそれでいいと思う。
そういえば、昔バスをチャーターして静岡まで遠征したことがあるんだけど、途中、バスの中で飲んじゃって「やばいよ」ってなってソフトボールして帰ってきたこともありました。だってみんなベロベロだったんで。初めての経験だったね(笑) でも、その行く途中も含めてトータルで草野球なんだよね。
この間お客さんチーム作りの話をしていて、大将から見て、どういう作戦がいいのか、聞かれてね。僕が言ったのは「ファーストにうまい子おきなさい」って言ったのね。草野球だったらね。打たせるピッチャーなら、三塁にも必要だけどファーストいい子を置かないと。ポロしたら終わりでしょ。他のところはポロしても一塁が間に合えばいいんだけど。ファーストは重要なんですよ。
経験者が少ないチームの中で、どうやって良い試合になるかというと、サードとファーストがポイント。
もちろん、ピッチャーが一番だけど。あと一番打てる子が一番バッター。
うちのチームの場合は一番背の高い奴と低い奴がじゃんけんをして、そこから決める。
これは邪道の草野球だけど。(笑)
編集長
つまり、試合後の飲み会までが草野球なんですね。
石井オーナー
そう。その日の“肴”になる子がいますからね。 しゃべりたい人もいっぱいいるからね。みんなが評論家になってね。
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