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野球の日特集「野球の日に野球を語る。」P1


この記事は2010.08.09にteams前身サイト草野球オンラインのに掲載されたものを再掲載しております

野球の日特集、「野球の日に野球を語る。」


8月9日は野球を愛する我々の日。この日だからこそ、野球を語ろうという、年に一度のスペシャルな企画。

2010年8月9日。「野球の日に野球を語る。」は100万部を超えベストセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)の著者・岩崎夏海さんと草野球オンライン編集長の対談が実現!岩崎さんの野球観に迫ります。


編集長

まずは、この本を書かれたキッカケ・このタイトルを付けたキッカケを改めて教えてください。

岩崎氏

複合的な要素が並列的にありますが、きっかけになったのは、今回の元となったブログの記事がありまして、それを見たダイヤモンド社の編集者の方が僕にこのタイトルで小説を書いてくれとご依頼されてきたんですね。で、「それでは書きましょうか」と言うカタチになりました。 最初は映画の企画としてストーリーの構想はあったんですよ。その映画のシノプシスみたいなモノを、ブログの記事としてアップしていたので、ストーリー自体の構想はもうありましたし、しかもブログの記事のタイトルもまさにこのままだったんですよ。

編集長

もともと野球は好きだったのでしょうか?

岩崎氏

そうですね。僕が小学校2年生の時に、うちの父親がバットとグローブを買ってきて、「キャッチボールでもしようか」という、その頃の子供だったら当たり前のような光景の中で始まったのが最初ですかね。 ただ、それよりも小学校3年生の時に見た高校野球によって強烈なインスパイアを受けたのが野球に傾倒していくキッカケにはなりましたね。


編集長

それから岩崎さんご自身でも野球をずっと続られていたのでしょうか。

岩崎氏

そうなんですよ。まあ、ここは紆余曲折あるんですけど。 話すと本当に長いのですが、高校までは続けてました。草野球もそれこそ継続的にではないですが、よくやっていましたね。 草野球は折々で、僕は音頭を取らないですけど、野球が好きで音頭を取る人がいて、僕が前に勤めていた先の先輩がいたのですけれども、その人が音頭を取って皆でやろうぜってやったのもありましたね。 そのときは会社が元麻布にあったものですから、有栖川公園にグラウンドがあるじゃないですか、あそこであるとか、青山墓地の隣にあるところでやってましたね。やるほうは、それなりに上手いんですよ。 バッティングはそんなに上手くないんですけど、ピッチャーと守備は結構得意ですね。 体力が全くないんですけど、手先は器用なので、どういう風に投げれば、どうなるって合理的にわかるので。 ただ僕は、後になって気が付いたのですが、野球を「やる」と言うよりは、「見る方」が得意なんですね。

実は、昨日(8月8日)、北大津(滋賀)VS 常葉橘(静岡)の試合を甲子園で見ていまして。 あのホームランですね・・・。 昨日は野球雑誌の編集者の方と一緒に見ていたのですが、僕の野球の見方にビックリされたというか、かなり驚かれたのではないかなと思います。たとえば、投球練習の時から常葉橘のピッチャーが打たれるのもわかりましたし、北大津の守備が訓練されているのも大体分かりました。そこで、「こういう試合展開になるよ」って話をしてたら、まさにその通りになりました

見る事に関しては、野球だけではなく、見て、分析してそこから紐解くのが一番の得意分野なので。 「あのピッチャー(北大津)は野手出身ですね」と、話していたら本当にそうだったりとか。 “人間”を研究するのが一番の僕の仕事なんです。

野球選手といえども人間じゃないですか。人間があのような表情をする時は、こういう感情なんだ、というのが今までの経験から大体わかるんです、はい。まあ、野球じゃなくとも人間がやる事に関しては大体そういうことはわかるというか…。


編集長

監督的な視点ですね。

岩崎氏

例えば昨日の北大津のピッチャーは、下から投げたり、上から投げたりと、大胆に投げるピッチャーだったのですが、あれは監督がそういう投球をする事に対して深い理解がないとなかなか出来ない事なんですよ。伸び伸び出来ないというか。 あれを外連味(けれんみ)なくやれるというか、自然にやれていることが重要なんですね。 打者の目先を変えてやろう、って事ではなく、多分その時の感覚で投手が上から投げたくなったり、下から投げたくなったりするんですよ。 多くの方が目先を変えようと思って投げていると思うんですよ。 でもそんな事で上手くいかないんですよ。 彼は、ただ単に、この感覚のときは下から投げたいなとか、上から投げたいなって感覚から湧き出しているんですよ、きっと。 でも、その感覚を大事に出来るっていうのは、監督が「彼は感覚を重視して伸び伸び投げさせた方がいい」って事を理解しているのだと思うんです。「これはいいチームだな」とわかったんですよね。 他にもありました。8回に北大津のピッチャーが4点取られたのですが、その前の7回の裏、そこまで内野ゴロが十何個ってあって三振が一個だけだったんですが、ちょっと欲をだしてツーナッシングから力を入れたストレートを投げこんだんですよ、三振を取りたくて。「あれでバランス崩すな」、と思ったんですよ。その回は抑えたのですが、次の回で本当にバランス崩して4点とられたんですよね。しかも、4点目がホームランだったんですよ。その後の表情がよかった。凄く反省した顔をしていたんです。「あっ、これで立ち直るな」と思ったんですよ。そしたら本当に立ち直って、その後は簡単に抑えてました。9回は違うピッチャーに代わってしまいましたが。

編集長

プロ野球では年に1、2回あるような大逆転劇の試合が、高校野球では頻繁に起こる。このあたりを岩崎さんの目からはどう見えてますか?

岩崎氏

結局ピッチャーの問題なんですよ。去年の決勝戦もそんな試合だったじゃないですか。日本文理が9回に物凄い追い上げをみせて。 高校野球のピッチャーは、「まさに打ってくれ」というボールをここぞという時に投げてしまうんです。基本的に、高校生はそんなに打てるものじゃないのに。蛇に睨まれた蛙で、そこしか打てないって所に、物凄いコントロールで投げ入れてしまう、という現象が起きるんですよね。 追いつめられると、色々な心理的な圧迫からですかね、そこしか打てない所にわざわざ投げる現象が高校生においては顕著に起きるって事ですね。 ピッチャーというのは、そういう心理状態に追いつめられる傾向がありますね。一方、プロで、しかも一軍で活躍している投手は、心が強いといいますか、そこまで追いつめられることが稀なんでしょうね。そこの違いですかね。

僕はバッターは基本的に無力だと思ってるんですね、本当に難しい球を打ったのはあまり見た事がないんですよ。 もちろん、ド真ん中を打つのも立派なのですが、その「ど真ん中に打ってくれ」と投げ込むピッチャー、そこに問題があるんです。


編集長

ド真ん中に投げさせてしまうのはバッターの気持ちなのか、あるいはピッチャーが弱いのか。

岩崎氏

ここで負けたらとか、ここで打たれたらとか、ピッチャーの気持というのは揺らぐもんなんですね。あとは、球場全体の期待感。 これは中村監督(PL学園元監督)とこの前お話させて頂いたのですが、そこで監督がおっしゃっていたのは、「PLが初めて優勝した時の決勝戦で、9回まで2対0で負けていたんですが、9回の裏の攻撃が始まった瞬間に何か球場がザワザワザワというざわめきみたいなものが広がっていった」らしいんです。9回の裏が始まっただけで。 実は、その前の日も9回に同点に追いついているので、何かそれを期待するざわめきみたいなものが、と言うのです。それで手拍子が一斉に球場全体を覆い尽くし、PLファンでない人も含めてなんかそれを始めて…。それがまた銀傘にこだまして、鳥肌が立った、って言うのですよ。その状況の中で先頭バッターの中村君が初球をセンター前ヒットにするのですが、その状況での手拍子やザワザワ感が、そのピッチャーの森君に、どれだけ大きなプレシャーを与えていたのかっていうか。それはTVじゃわかんないですよね。


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